「蹴りたい背中」でちょっとがっかりしてたので、あまり期待しないで手に取ったんですが、こっちの方が完成度も高いし、メッセージ性があるような気がしました。
でも所有というのは悲しい。手に入れるという事は、自分のものであるという事が当たり前になるという事。手に入れる前の興奮や欲求はもうそこにはない。欲しくて欲しくて仕方なかった服やバッグも、買ってしまえば自分のもので、すぐにコレクションの一つに成り下がり、二、三度使って終わり、なんて事も珍しくない。結婚なんてのも、一人の人間を所有するという事になるのだろうか。
「蹴りたい背中」と「蛇にピアス」の二冊を読み終わってみて思ったのは、ふたつの作品はセットにして比べて読むと、全く別の楽しみ方ができるという事。今回の芥川賞は、完全に正反対のタイプの 19 歳ふたりに対して(個々に対してではなく)与えられたような気がします。
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