考える技術

卓越した論理的思考力の持ち主である著者が、その “考える技術” について解説した最新作です。

何気なく手にとった本ですが、思わぬところからアタリを引いた気分です。論理的思考力を一段階レベルアップしたい人は、絶対に読むべき一冊だと思います。

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“英語力・IT 力・論理的思考力は、これからの時代、勝ち組として生き残っていくための必須のツールである”

ここ最近、こんなアドバイスをビジネス書や雑誌などでしつこいぐらいに目にします。

そんなアドバイスを意識してというわけではないのですが、僕も「論理力を鍛える!」系の本を何冊か読んだことがあります。しかし、それらの本の大半はどちらかというと論理クイズ集のような趣になっていて、読了後に「で、結局、どうすれば論理的思考力がつくのさ?」という感想を抱くことが多かったりします。

本書はそのようなクイズ集的なものではありません。具体的な例を使って論理的思考のポイントを明確に解説した実践的な本です。さまざまな事例を、著者の思考回路に沿って、次々と論理的に解決していきます。

読了後、ふと、「問題を論理的に解決していくプロセスって、すっごいすがすがしいものだったなよなぁ」とボンヤリ思いました。そのとき、うっすら頭にあったのは、今から 4, 5 年前。研究室時代の記憶です。

論文に限らず科学の成果発表というのは、仮説・検証・実験・実証というプロセスが明確です。雑誌会などで論文を読んでいたときや、教授や同僚とかと実験についての話をしているときなど、「○○の実験で○○のデータが得られないと、その結論は言えないっス」というような議論が日常的にありました。今思うと、論理的思考のとてもいい訓練になっていたんですね。

著者は、世界的な経営コンサルタントですが、もともとは MIT において原子力の研究で博士号を取得し、30 歳まで日立製作所で原子炉の研究をしていた経歴を持つ根っからの理系人間です。そして、その課程で身につけた科学的な思考プロセスが、そのまま、経営など一般的な問題の解決に応用できる断言しています。すらすらと読むことができたのは、著者の科学的な思考プロセスがわりと馴染みやすかったからかもしれません。

著者は、論理的思考力というのは訓練をすることでいくらでも伸ばせるものだといっていますし、その通りだと思います。本書では、たくさんのトレーニング方法なども紹介されていて、かなり濃い内容になっています。

これだけの内容が 1600 円、1 ページ 6 円とは安すぎると思います。

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