入社してから 2 年半くらいシステム設計と製造・テストの仕事に携わっていたのだが、2 ヶ月ほど前、突然、運用という仕事に配属になった。仕事が安定しないのは小さい会社の宿命なので仕方がないのだが、今まで勉強してきたことや経験がいきなりゼロになった。

聞ける人間もいないので、わけもわからず言われたことをやっていたのだが、2 日くらいでイライラしてきた。僕は言われたことを頭も使わずにこなすために人生を送っているわけではない。そんなのは仕事といわず、ただの労働というのだ。

同じチームにいる 50 歳くらいのオジサンと仲良くなったので、こっそりと聞いてみた。

「正直いうと、今までずっと開発ばかりで、実をいうと運用って全くはじめてなんですよ。何をしたらいいかすらわからないんですけど、これ読んでおいたほうがいいよっていう本とか資料ってあります? そういうの教えていただけると、帰ってからも勉強とかできるんで。」
「うーん、ないなぁ。勉強とかじゃないよ。経験だよ、経験。」

運用とは勉強とかじゃないらしい。誰に聞いてもそんな返事がかえってくる。

本を読めば仕事ができるようになるはずなどなく、経験が大事だということもわかっている。しかし自分の頭で考えて動くためには、ある程度、基礎と全体像がわかっている必要があると思う。

本がないのではなく、ここで運用をしている人間がそういうものの存在を知らないだけだろうという結論に達した。すべて自分で調べるしかないと思った。

職場ではいっさいインターネットが使えないので、家に帰ってからひたすら調べた。しかし出てくるのはシステム運用会社の宣伝ばかりである。本当に資料がないのかと思ったほどである。

それでもしつこく調べていくと、内容的に一番近いのは情報処理試験の中の「テクニカルエンジニア(システム管理)」の内容だということがわかってきた。すがる思いで試験の教則本などを読み、過去の問題にのっている障害対応事例や仕様管理手順、資源管理の基本などをひたすら調べて自分なりのドキュメントとしてまとめるという作業を続けた。

そんな作業の甲斐あってか 2 週間ほどたつと、運用という仕事の進め方もわかってきた。少しずつではあるが、ルールも決められるようになりドキュメントもひとりで書けるようになってきた。

しかしなんか物足りない。

各々の運用手順についてはわかってきたのだが、なんというか自分的に頭できちんと体系化がされていないのだ。とりあえず、ひき続き Bulkfeeds や Feedback、未来検索などを使って「システム運用、システム管理、運用設計、運用管理」あたりのキーワードで追跡し、事例を集めて再構築するという作業を続けた。そして先週、追跡しているサイトのひとつで「ITIL」という言葉を知った。

ITIL とは、英国商務局というところが IT サービス管理・運用規則に関するベストプラクティスを調和的かつ包括的にまとめた一連のガイドブックのことらしい。要するに、IT サービスの運用に関する教科書的なものである。

ついに見つけたという気分である。

さっそく Amazon で関連書籍の検索をしたのだが、日本で出版されている ITIL 関連の書籍は、「青本」「赤本」といわれている 1 冊 15000 円もするバイブル的な本しかないようだ。

そして、それらを買おうか買うまいか悩んでいるところに、最近タイミングよく発売されたのが次の書籍である。

この本には ITIL の基本についてザックリと基本が説明してあったので、かなり頭がスッキリした。全体を見るにはちょうどよい入門書だと思う。これで、青本や赤本への頭の下準備もできた。

重ねていうが、本(知識)を手に入れたからといって仕事ができるようになるわけではない。しかし、何もせずにただノンビリと経験がついていくのを待っているほど人生に時間はないのだ。

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