制限の中からひねり出るもの

128 文字しかメールが送れない時代があった。

短い文字数のなかでどんなふうに書いたらおもしろい文章が書けるか。どう書いたら気持ちが一番伝わるか。送信するまでに書いたり削ったりちょっと寝かせたりして友達とかには返事が遅いとよく怒られたけれど、推敲を重ねてからひねり出して作った文章のクオリティは自分的にとても満足していて、送った文章に無駄な文字は一文字もないぜと思っていた。

先月の中頃、京都議定書が発効になった。

日本は温暖化ガスの排出量を 2008~2012年で平均 6% 削減する義務を負った。さっさと約束を破ったアメリカに対して、日本はその基準を守るために愚直に努力を続けている。昨日の日経一面に出ていたトヨタと JR をはじめとする各企業のモーダルシフトなどの試みを見ていると、誠実に約束を守る日本人の素晴らしい国民性を感じることができてとても嬉しい。技術でいえば、東芝が開発した二酸化炭素を吸収して、さらに再利用できるセラミックなんて本当に素晴らしい発明だと思う。

制限があるがために人間は苦労する。しかし、その制限により素晴らしい技術や工夫がひねり出て、結果的によい結果を生むことは本当に多い。

大人になって、自由になって、豊かな社会になって、インフラが整って、制限という状況は昔より確実に減っているように感じる。現在の、昔に比べて多分にリッチな状況の中で、なにか大きなブレークスルーの種をこぼしているのではないのかと、ときどき不安になる。

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