表紙の絵と質感が妙に気になって、中身もほとんど見ないで購入しちゃいました。こういうのもジャケ買いって言うんでしょうか。
この単行本は二編からなっていて、それぞれどこにでもいそうなごく普通の OL が主人公です。そんな彼女たちの前に、ある日、突然「死神」があらわれたところから物語が始まります。
多美は、ちょこまかとリズミカルに狭い台所の中を動きまわる母親の背中を見つめながら、恭助に命をあげてしまわなくてよかった、生きていてよかったと思った。もし自分が突然死んだら、この背中が泣くのだ。この背中が悲しみに震え、この背中が運命を呪うのだ。
生きる、ということは、ひとりで成り立つことではない。生きるということは、誰かに生かされ、誰かを生かし、誰かとつながっているということだった。
定期的に「死」とちゃんと向き合わないと、忙しく楽しい日常の中で「生」の実感がどんどん薄くなってしまうものです。なので、たまにはこういうちょっと考えさせられる本を読むのも良いなと思いました。
それと、後半の物語で象徴的な場所になっているブリジストン美術館。夜 20 時までやっていて、東京駅八重洲口から徒歩 5 分とのこと。読んでいたら無性に行きたくなってきたので、明日あたり行ってみよう。セザンヌとか見れるらしい。
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