あなたはコンピュータを理解していますか?

あまり知られてないけどホントに素晴らしい商品や情報。

それが、自分が他人より優れていたいと思う分野の情報だったりすると、ついつい人に教えず独り占めしたくなってしまうのが人間の心情です。例えばそれは、日本に伝わってきていない効果的なダイエット方法だったり、ある本屋でしか買えない受験参考書だったり、あるいは誰も知らないような若手芸人の面白いネタだったりするかもしれません。

休み中に読んだ文章の中に、

知恵は抱え込むのではなく、分かち合うことで自分自身、そして社会の成長を加速化できる。

というのがあり、とても感銘を受けました。そして本当にたくさんの成功者たちが、良い情報というものは共有すれば何倍もの恩恵が自分自身に返ってくるんだ、と言います。

そんな言葉を受けて、自分の中にもそういうものはないかなと考えてみたところ、素晴らしい本を出し惜しみしていることに気づきました。身近な人たちにも言ったことなかったのは、たぶん独占欲みたいなものがあったのかもしれません。

当時の表紙

いままでコンピュータ関連の本を結構読んできましたが、この本はトップクラスで影響を受けた本です。間違いなく名著だと思います。

内容はズバリ「コンピュータの本質」について。

アスペクト指向や SOA、セマンティックウェブなど、昨今の派手な話題に比べるとその内容は実に地味ですね。しかし、本書の内容はトレンドではなく本質です。流行廃りにまったく関係のない珠玉の情報がつまっています。

この本の大きな特徴は、比喩や絵がとても多く、極めてわかりやすいという点です。コンピュータのことなんて全然知らない人でも楽しく読めると思います。(ホントは多少コンピュータを知ってるつもりになっている人にこそ読んでほしいのですが)

そして、それは目次をみれば一目瞭然です。

第0章 コンピュータを理解するということ
第1章 その味噌汁の塩分はいかほど?
第2章 油田のパイプラインと伝言ゲームの連続
第3章 自動販売機はコンピュータ理解の始まり
第4章 記憶のカースト制
第5章 顔の細道
第6章 師宣わく「未来は常に移り変わっておる」

改めて見てみると、コンピュータの本とは思えないほどわけのわからない目次です。 🙂

その極端に多用されている比喩については、著者も後書きで次のように述べています。

科学や学問とは具体化と抽象化の間を行ったり来たりする知的作業です。比喩は単に、話を面白おかしくするものではなく、この具体化と抽象化の間を「行ったり来たり」する訓練にとても役立ちます。比喩を用いて説明するこということは、もとの話とたとえ話の両者に共通する性質だけをうまく取り出して、縁遠かった話題を身近で具体的に感じられるように変換することです。それぞれの具体的な話題(具体化)と、それらに共通するいくつかの本質(抽象化)。この 2 つのほどよいバランスがとれたとき、あなたはそれを「理解した!」といえるのです。

僕はこの本から、

・この先何年たっても枯れることのないコンピュータの本質
・物事の意味を心から理解したときの何ともいえない爽快感
・もっともっと次の勉強がしたくなる好奇心の種

を得ました。

こういう味わいって、まさにサイエンスの醍醐味ですよね。

とりあえず、本屋さんなどで見かけたら即買いしてみてください。そして読んだ人がこの感動が共有できたならば、本当に嬉しく思います。

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