「のび太」という生きかた

のび太の人生最大の目標はしずかちゃんと結婚することです。

そして未来ののび太は見事にしずかちゃんを射止めて幸せな家庭を築いています。つまり人生で一番やりたいことを、のび太はちゃんと達成しているわけです。

本書は “そんなのび太って実は勝ち組なんじゃないの?” というアプローチから、その成功法則(本書では「のび太メソッド」と呼んでいます)を抽出してみようという趣旨の本です。

当時の表紙
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著者は富山大学で「ドラえもん学」を研究している大学教授です。全作品を 50 回以上も通しで読んでいたり、セリフやあらすじをデータベース化して分析しているだけあって、各法則について引用されてる物語がとても適切でとても説得力にあふれています。

そんな著者の分析では、のび太の最大の強みはザックリ言えば「圧倒的な優しさ」と「夢を描けるチカラ」であるとしています。特に「優しさ」は、のび太がのび太たる素晴らしい長所だと著者は言います。

短編第 25 巻の『のび太の結婚前夜』では、しずかちゃんの「あたし…、不安なの。うまくやっていけるかしら」の問いに対して、しずかちゃんのパパはきっぱりと「やれるとも。のび太君を信じなさい」と答えています。そして、しずかちゃんのパパはドラえもん漫画史上最も心に響く次のようなアドバイスをします。

「のび太君を選んだ君の判断は正しかったと思うよ。あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね」。この話を聞きながら、しずかちゃんはのび太との幸せな結婚生活を確信し、結婚式に臨んだのでした。

思いもよらずといったら失礼ですが、読後感がとても気持ちの良い本でした。

『ぼくの生まれた日』や『あの日あの時あのダルマ』の紹介のくだりでは、思わず泣きそうになりました。最近は涙腺がゆるすぎです。

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