東京奇譚集

長編もいいけれど、村上春樹はやっぱり短編が素晴らしい。

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僕らの生きている「現実」とは別のところで、偶然とよぶにはできすぎていると感じるような、なんというか「意図」みたいなものが存在すると感じることがあります。

それは「デジタル時計を見ると自分の誕生日っぽい数字だった」的なちっちゃなことだったり、「20年来会っていない友人になぜかマドリードで偶然会った」みたいなビックリ事件だったりするわけですが、不思議なことに、この手の話は誰でも2, 3個持っているくらいにあちこちに転がっています。

この短編集で描かれている話からは、そういうカタチのないあやふやな「意図」みたいな世界(という言葉をあえて使ってみた)を、現実よりも3割くらい強調したような印象をうけました。どの話にもリアリティを感じます。(猿はしゃべってるけど)

ネタバレになるので内容には触れませんが、まさに村上春樹といった読後感で大満足。個人的には「日々移動する腎臓のかたちをした石」がいちばんお気に入りでした。

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