魔王 切り抜き

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「犬飼は三十九歳だ。知ってるか?」俺の声は、俺が思っている以上に、大きかった。
「若いってのか?いいじゃねえか、若くて」島はそう言ってから、「未来のない老体が未来を考えられるか?未来のことを考えるのはいつだって若い人間なんだよ」と続けた。「政治家にしてみればよ、未来イコール老後でしかねえよ」(P10)

「今、この国の国民はどういう人生を送っているか、知っているのか?テレビとパソコンの前にすわり、そこに流れてくる情報や娯楽を次々と眺めているだけだ。食事も入浴も、仕事も恋愛も、すべて、こなすだけだ。無自覚に、無為に時間を費やし、そのくせ、人生は短い、と嘆く。いかに楽をして、益を得るか、そればかりだ。我慢はせず、権利だけを主張し、文句ばかり、私は、それを自由と呼んで、大事にしておくべきとは感じない」(P38)

潤也の皿に載ったスイカの中で、ひときわ大きい欠片があって、その表面に、種がびっちりと並んでいたのだ。しかも、整列という言葉がふさわしいほどに、綺麗な並び方だった。縦三列の、横は十粒ほどだろうか、綺麗に行列を作っている。偶然にできあがった配列に違いないが、けれどそれを見た瞬間、俺は寒気を感じた。(P43)

“生理的におぞましさを感じる”ような、感情に訴えかけてくる事象を大切にしていく必要があると思う。それがポジティブなものであれネガティブなものであれ。

この国の人間の最も基本的な喜びは、「おまえ、これ知らないだろ?」という優越感で、それを助長しているのがインターネットであると看破し、自分が政治家であればそれを有効に利用するだろう、とも予言した。(P125)

犬飼の台詞ばかり印象に残った本であった。

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