いやー、おもしろかったです。いつもの伊坂幸太郎の雰囲気とちょっと違います。

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読み終わったばかりの今の感情を言葉にするのはなかなか難しいのですが、一部だけ言葉にしてみると「集団催眠の渦中にいるような体験をさせてくれる物語」といったところでしょうか。

物語の中で、ファシズムの象徴として描かれていたと思われる犬養という39歳の若い政治家がいます。頭が良くて、ハッキリと自分の考えを口にできるカリスマ性のある政治家です。

「今、この国の国民はどういう人生を送っているか、知っているのか?テレビとパソコンの前にすわり、そこに流れてくる情報や娯楽を次々と眺めているだけだ。食事も入浴も、仕事も恋愛も、すべて、こなすだけだ。無自覚に、無為に時間を費やし、そのくせ、人生は短い、と嘆く。いかに楽をして、益を得るか、そればかりだ。我慢はせず、権利だけを主張し、文句ばかり、私は、それを自由と呼んで、大事にしておくべきとは感じない」(P38)

犬養についていくことは、それがファシズムの危険をともなっているいうことは主人公の安藤が感じたのと同じく、僕もひしひしと感じながら読み進めました。しかし、一方で犬養の主張や思想に魅了されている自分もいました。

怖いですねぇ、集団心理。安藤のように「考えろ、考えろ」がいいのか、科学のようにディタッチメントなスタンスを取るのがいいのか、それともその他大勢のように流れに乗っていくのがいいのか、正解はないと思いますが、偶然にも同じようなことを考えていたので、もう落とし込んで考えてみたいと思いました。

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