明治という国家

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目付というのは、日本古来の習慣から出た役職です。たとえば、鎌倉のむかし、源頼朝が平家討伐の軍を編成するについて、弟の義経を大将にします。目付には、梶原景時をえらびます。義経は飾りですが、真の頼朝の代理人は梶原である、そういう組織的慣習が日本にあるのです。(P36)

ここで申しておかねばなりませんが、ここに国が千あれば千通りの政体(system of government)の歴史があります。そっくりという国は、地上にはありません。歴史は科学のように法則的に変化するというマルクスの歴史観のあやまりは、ここにあります。(P45)

十九世紀の半ばすぎという時代において、古ぼけた文明の中から出て近代国家を造ろうとしたのは、日本だけだったのです。そのことの嶮しさをのべたかったのです。いったん返すべきものを返さなければ植民地にされてしまうのです。でなくても、国家の信用というものがなくなります。国家というのも商売ですから、信用をなくしてしまえば、取引ができなくなるのです。信用が以下に大事かということは、江戸期の人達も、その充実した国内の商品経済社会での経験で、百も知っていたのです。(P53)

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