人生の鍛錬

今日は予定のない休日。幸せである。

編集:新潮社
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書棚の積ん読コーナーを眺め、今日は新潮社編集の『人生の鍛錬 小林秀雄の言葉』を読むことにした。

本書は、小林秀雄の膨大な作品群の中から、厳選した416の言葉を集めた名言集である。久々に付箋でいっぱいになった。

誤解されない人間など、毒にも薬にもならない。そういう人は、何か人間の条件に於いて、欠けているものがある人だ。

上手に語れる経験なぞは、経験でもなんでもない。はっきりと語れる自己などは、自己でもなんでもない。

女というものにはとてもかなわない、男は誰でも腹の底ではそう思っている、思っているというより殆ど動物的な本能からそれを感じている。男にはとてもかなわないと女は言うが、それはほんの世俗的な意味で言うので、腹の底では男なんかなめているに相違ない、と男は感じているのである。尤もこういうことは未だ男を知らない女には決して解らない。男だって未だ女を知らないうちは、自分の心のうちに女性恐怖の本能があるなどということは決してわからない。

美は信用であるか。そうである。純粋美とは譬喩である。

彼の言葉には装飾がことごとく削ぎ落とされ、本物のみが残っている。それらは、短いが重たい。プロの紡ぐ言葉というのは、こういうもののことを言うのだろう。

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