ヤクニン

作業はしているんですが、仕事がまったく進みません。

今日もいつものようにだらだらと会議(責任の押しつけ合い)をしていたので、ふと『世に棲む日日』のこんな一節を思い出してしまいました。

「ヤクニン」という日本語は、この当時、ローニンという言葉ほどに国際語になっていた。ちなみに役人というのは、徳川封建制の特殊な風土から生まれた種族で、その精神内容は西洋の官僚とも違っている。極度に事なかれで、何事も自分の責任で決定したがらず、ばくぜんと、「上司」という言葉を使い、「上司の命令であるから」といって、明快な答えを回避し、あとはヤクニン特有の魚のような無表情になる。
上司とはいったいたれか。その上司とかけあおう。
と、外国人が問いつめてゆくと、ヤクニンは言を左右にし、やがて「上司」とは責任と姓名をもった単独人ではなく、たとえば「老中会議」といった煙のような存在で、生身の実体がないということがわかる。

この時代から 130 年ほど経ちますが、ここ 2004 年のシステム開発現場でもまったく同じことが起こっています。高杉晋作のような決断力とスピード感のある人間がいればと切に願います。

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