盛り上がれないわけ

僕は無理矢理「盛り上がる」のがとても苦手だ。「盛り上がる」のさえ苦手なんだから無理矢理「盛り上げる」なんてもってのほかである。

しかし、これは大きな問題なのだ。

なぜなら日常生活をしていれば、宴会やカラオケの場などでそういう状況に遭遇してしまうことは避けられないからである。そしてそういう状況になるたびに、盛り上がれない原因ついて考え込んでしまうことも何度もあった。

しかし先日、ついに原因にたどりついたのである。


それは「イェーイ」の存在である。


「イェーイ」とは、ご存じのとおり作為的に盛り上がろうとするときによく使われる奇声のことだが、僕はどうもこの言葉が苦手なのである。

苦手な言葉といえば、前にエントリーした「いげた」もかなり苦手な部類に入るのだが、「いげた」が我慢すればなんとか口にできるレベルなのに対して「イェーイ」は発音すらしたくないほどである。余談になるが、同じくらい苦手な言葉として、主に男女に対して用いられる「ヒュー」というものがあり、「イェーイ」と同様、多少いいたいこともあるのだが、ここでは触れない。

さて、さらに「イェーイ」について深く分析してみたところ、究極的にはたったふたつの理由から「イェーイ」が苦手なことがわかった。

理由のひとつは「イェーイ」という言葉の正体の不透明さである。そもそも「イェーイ」はどこから来た言葉で、何を表しているのか?表記は本当に「イェーイ」で正しいのか?もしかしたら「イェイ」かもしれないし、ひらがなで「いぇーい」なのかもしれない。

ちなみにいちおうGoogleの検索結果数で検証してみたのだが、

イェーイファミリー件数
イェーイ142,000
イェイ361,000
いぇーい55,400

数字だけを見るとどれもそれなりに使われているので、結局何が正しい姿なのかはわからないままという結果になった。

ふたつめの理由は、「イェーイ」があまりにも軽薄な語感を持っているということである。いや、語感だけではない。試しに「イェーイ」でGoogleイメージ検索してみたところ以下のような写真が出てきたのである。

なんというアホ面だろうか。まさにこれである。これがイェーイである。おそらく人類は「イェーイ」と口にしているときこのような顔をしているに違いない。たまらなく嫌だ。自分がこんな顔をしているのも嫌だし、あまつさえ「イェーイ」と口走っているときに事故死したらどうなるかなんて考えるだけで身の毛がよだつ。こんな顔のまま死後硬直して仏様になってしまうのである。


さて、だらだらと「イェーイ」が苦手な理由について述べてきたわけであるが、一方で、僕は「イェーイ」の意義自体は認めている。前述したとおり、日常生活の中で作為的に場を盛り上げたいケースが多々あるというのは紛れもない事実だからだ。

そこで立ちはだかるのは「イェーイ」であることはすでに述べた。

つまり結局なにがいいたいのかというと、うまく盛り上がれないのはすべて「イェーイ」が原因であって、もしも「イェーイ」ではなく、もう少しエレガントに盛り上がれる言葉が存在するならば、僕はむしろ盛り上げ役にだってなりうるということなのだ。こう思っているのは僕だけではないだろう。(たぶん)

そう。エレガントな「イェーイ」こそが、いまいち盛り上がりに欠ける現在社会に求められているものなのだ。

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